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「ナノ学位(nanodegree)」は技術職への新たな道となるか

2014.7.1 17:05 | Selena Larson | ReadWriteJapan編集部

Udacityは短期間の集中トレーニング・プログラムで、学生にキャリアパスを提供する。

オンラインコースの提供元であるUdacityは、高度な技術や職種固有の技術の学習プログラムをウェブで多くの人々に提供したいと願っている。Udacityは月曜にAT&Tと協同で最初の「ナノ学位(nanodegree)」プログラムを発表した。これは、モバイルおよびWebコンピューティングの技術トレーニング プログラムであり、求職者に需要が高い仕事に就く機会を与えることを目的としている。

どうしてナノ学位なのか。大学は全ての人が通えるものではなく、あなたの仕事に関していつも有益とは限らない。従来の2年制または4年制の学位では、特定分野に専念することや、将来就く仕事に関連するかどうかに関わらず、授業に多くの時間を費やすことが求められる。そして、この20年間で劇的に上昇している大変高額な授業料もかかる。

専門学校はオンラインとハイテクになる

現在、さまざまなキャリアを目指す人々には多くの選択肢が存在する。自動車技術、美容健康サービスの専門学校などが挙げられ、最近ではアプリ開発技術を迅速に習得できるコーディングを学ぶ専門学校もそこに加わった。

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Udacityのナノ学位(学位として認定されていない)は、CEOのセバスチャン・スランが言うところの、「積み重ね可能な」プログラムを目指している。 人々はこのプログラムによってさまざまな技術を補完することができるだろう。

「このプログラムに半年間(通常の学位取得より遥かに短い)注力すれば、あなたは別の仕事に就く機会を得ることができます」とスランはインタビューに答えている。「例えば、あなたが有能なプログラマーだとしたら、Udacityでモバイルプログラマーに転向することができます。モバイルプログラマーの求人は無数に存在します。または、プログラマーからデータサイエンティストに転向することも可能です」

一連のコースは、オンライン学習で人気の、多くの人に開かれたオンラインコース(MOOC)形式で提供される。ナノ学位プログラムは初心者レベルのソフトウェア技術に注力し、最初のプログラムは、ソフトウェア開発者に向けたものとしてAT&Tが監修したものである。プログラムに力を入れることで、学生はAT&Tの技術を習得し、技術職に就くことができるかもしれない。

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AT&Tの支援により、プログラムはAT&Tの業務内容に基づいた構成になっている。また、AT&Tは卒業生に向けて有給のインターンシップを計画しており、プログラムを受講できない学生のために奨学金を与えることも検討している。

安く、早く、学位取得を

Udacityの創始者でありCEOのセバスチャン・スランは、ナノ学位で学生はスキルを伸ばし、新しい仕事を探すことが出来ると考えている。
Udacityの創始者でありCEOのセバスチャン・スランは、ナノ学位で学生はスキルを伸ばし、新しい仕事を探すことが出来ると考えている。

ナノ学位は1カ月あたりたった200ドルで、1年未満で完了するよう設計されている。コーディング専門学校の中には、1万ドル以上かかる場合もあり、Udacityプログラムはバーゲン価格のように映る。

現在、ナノ学位を提供するためにUdacityと提携している企業はAT&Tのみであるが、Udacityはその他の有名な技術系企業と提携し、職種固有のプログラムを始めることを計画している。

UdacityはすでにOpen Education Alliance(OEA)でグーグルやオートデスク、23andMeなどの企業と協力しており、協力企業はUdacityプラットフォームへ授業を提供し、学生が仕事に応募する際にその修了証明書を評価するとしている。また、Squareやフェイスブックなどの技術系企業の求人を見つけられるように、Udacityは学生に求人サービスも提供している。

AT&TはOEAのメンバーであるため、他のメンバーである企業はその例に従う可能性があり、職種固有のトレーニング・プログラムを提供し、MOOCによって才能ある人材を確保するだろう。

「これを業界全体のプラットフォームにすることを目指しています」とスランは言う。

Udacityはテクノロジー産業以外でもナノ学位を計画している。スランは財務のナノ学位について、Udacityが多くの銀行と相談していると教えてくれた。

まだ大学の代わりではない

Udacityやコーセラ(有料で修了証の発行可)のようなオンライン学習サービスは、従来型の大学をばかにしているように見えるかもしれない。スランはそんなことはないと主張する。

Udacityの学生のほとんどは、すでに大学の学位を所有しており、スキルの組み合わせを広げ、新しいキャリアパスを手に入れようとしているだけだと、スランは言う。これはオンラインコースを提供する企業にとって珍しいわけではない。コーセラの創始者の一人であり、副CEOのアンドリュー・ウングは、コーセラの75%の学生がすでに学位を所有していると今年初めに教えてくれた。

「学位の価値を下げるものではありません」とスランは言う。「これは単なる追加のプラットフォームです。4年制の学位は素晴らしいが、すべての人が入学できるわけではないのです。時間を作ることができなかったり、仕事をしているため、従来型の授業に参加できない人々にとって、このプラットフォームは別の選択肢となるのです」

オンラインコースの批評家の中には、Udacityのようなプログラムは学生に必要な教育をしておらず、修了率が非常に低いと指摘している。2013年5月からのある調査では、MOOCの平均修了率は7%を下回ると分かった。

しかし、MOOCモデルの支援者は、学生が授業料を支払う場合は、その数字は遥かに高くなるということを主張している。

「学生が授業料を払う場合、修了率は70%です」とスランは言う。このパターンが新しいナノ学位プログラムにも当てはまるかどうか分からないとも認めている。

授業料を払っているが、まだ修了していない私のような学生もいる。授業料や、コース修了にかける時間や労力に見合う高い価値を、このコースは提供しなければならない。

しかしこれがうまく機能すれば、ナノ学位は学生に雇用の門扉を開き、技術系の労働者、最終的には他の産業における労働者とっても新しい道となるかもしれない。

Udacityなどのオンラインコースは従来型の教育を奪おうとはしていないと主張する一方、スランは教育者が新しい教育モデルを更に試してくれることを願っている。

「我々は困難に直面しており、転換点を迎えています」とスランは言う。「授業料、法律、雇用投資などが、ぶつかり合っています。また、基本的な仕事に必要とされる教育レベルでさえ高水準になっています。教育者がこういった時流に乗り遅れないためには、テクノロジーに対してオープンで、実験を容認する必要があります」

AT&Tは教育機関と求人ツールの両方でMOOCを利用した最初の企業である。しかし、この実験がうまくいけば、新しいキャリアパスを掴む学生数が多くなるだろう。そしてそれは、新たなキャリアパスを約束する、細やかなオンライン学位のおかげと言えるかもしれない。

画像提供
トップ画像:Francisco Osorio
セバスチャン・スランの画像:Neilson Barnard/Getty Images for The New York Times

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