最近のMicrosoftは不振だ。かつては景気が良かった同社は、ここ10年で下降の一途を辿っている。WindowsやOffice製品から利益を搾り取っているうちに、ソーシャルやWeb、モバイルといった産業構造の変化についていけなくなってしまったようだ。別段驚くには当たらないが、Microsoftの全盛期はA.B.2000年(After ビル・ゲイツ) 、スティーブ・バルマー氏がビル・ゲイツ氏に代わってMicrosoftのCEOになった時に終わっているのだ。これは何よりも、技術主導型のCEOからビジネス指向型のCEOに変わったことによる。

その結果は決して捗々しいものではなかった。

バルマー氏が今年12月の退陣を発表したことを機に、Microsoftは開発の原点に立ち返るべきである。そのためには製品ライン全体をオープンソースに参入させなくてはならない。

停滞の10年

もちろんゲイツ氏の経営方針は一夜にして消え失せたわけではない。しかし、会社に対する彼の影響力の衰えはそのまま株価に反映された

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こうした事情にもかかわらず、Microsoftは大幅な利益を生み出している。大抵の企業の累計利益を超える金額を一四半期で稼ぎ出すほどだ。しかし、実はこれが問題の一端なのである。バルマー氏は会社の収入源(WindowsとOffice)から利益を搾り取ることに固執し、将来性を敢えて無視したのだ。

CIOの意見を取り入れてデベロッパーを失った

バルマー氏の問題は、未来を予見できなかったことだ。ティム・オライリー氏はテクノロジーの未来について知りたければアルファギーク(職場や集団におけるテクノロジーのエキスパート)たちに注目するようにと我々に助言してくれたが、バルマー氏がこの13年間視野に入れてきたのはアルファギークではなくCIOたちだった。

CIOはMicrosoftの既存のツールを彼らのニーズに合わせて進化させる方法をバルマー氏に提言したが、その結果生み出されたのはSharePointのような、優れてはいるがありきたりのテクノロジーだった。

CIOというものは本質的にリスクを回避したがるため、Microsoftの将来について述べるべき意見など持ってはいない。

そうこうするうちに、Microsoftはデベロッパーのトレンドを完全に見失ったのである。Node.jsのようなサーバー・サイド・プログラミング言語、最新のNoSQLデータベース技術、クラウドベースの成長と展開といった全てのトレンドを。これらは全てここ10年の間に、オープンソースのデベロッパーの出現により大きな変化が起きた機能である。デベロッパーたちはオープンソースによってパーミッション無しでも新しい技術を実験できるようになり、企業の束縛から解放された。

バルマー氏はMicrosoftの収入源を守るためにオープンソースと猛烈に戦った。結果として、Microsoftを導いてくれるはずだったまさにその人々を遠ざけることになってしまったのだ。MicrosoftのデベロッパーサイトであるMSDNに最近加えられた改訂は、マーケティングには長けているがデベロッパーの信頼性を欠いている企業のほんの一例に過ぎない。

利益に目がくらんだ結果

台頭するデベロッパー層と有益な関係を築く代わりに、バルマー氏はこの13年間、狭い殻に閉じこもったCIOのフィードバックと健全な利益率のみに目を向けて過ごしてきた。おかげで彼は、モバイルやWebにおける競合の台頭を正しく評価することに完全に失敗したのである。有名な例だが、バルマー氏はiPhoneのことをあまりにも高価でビジネスフレンドリーではないと酷評したのだ。

当時のMicrosoftの現状をよそに彼は「毎年何百万もの携帯電話を販売する」と言及して早い段階で買い手を獲得していたが、AppleがiPhoneの発売を開始するや否やMicrosoftの携帯電話事業は暗礁に乗り上げてしまった。携帯電話の未来はCIOではなく、一般消費者によって決定されるのだということが明らかになったのだ。

未来への活路

バルマー氏の退陣にあたって何よりも期待されるのは、エンジニアリングに明るいCEOの起用である。デベロッパーに対する鋭い審美眼を備えており、かつデベロッパー・タイプではない人物が望ましい。Microsoftは今後オープンソースを丁重に遇する必要がある。Microsoftは既に著しい進化を遂げ、デベロッパーが同社のプラットフォーム上で開発を行う上での貢献はしたものの、オープンソースを完全に採用したわけではないからだ。

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Kinectを例にとってみよう。このケースでは多少ハッカーにプラットフォームを解放する結果になったが、Kinectが所有するコードには誰も触れることができなかったと速やかに断言された。ハッキングではなくただいじり回すだけなら、Microsoftはむしろ大歓迎だと。

ここまでがバルマー氏の許容範囲なのかもしれないが、今後21世紀を見据えると決して勝算が高いとは言えないであろう。

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