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コーディングを学ぶためのブートキャンプ(短期集中型の研修)が最近大流行している。世界中で何百も誕生しており、その数は増大し続けている。これらのスクールが求職者と学生の間で人気になるにつれて、政府の監督官はそのプログラムが州法に準拠しているかを確認するため、それらを厳しく取り締まるようになってきている。

コーディング・ブートキャンプは学生にプログラミング分野での高給な仕事を約束する9~12週間のプログラムであり、費用は12,000ドル以上かかる。

コーディング・ブートキャンプの元祖の1つである「Dev Bootcamp」は、2012年2月以来450人以上の卒業生を誇っている。卒業生の85パーセントが現在雇用されていると、Dev Bootcampのブランドン・クロークは語っている。この数字は平均的なアメリカの大学(卒業生の27パーセントほどしか自分の専攻科目に関連した仕事を得られていない)と比較すると優秀である。

こうしたスクールの一部(Hack Reactor、Dev Bootcamp、General Assembly、Hackbright Acadmemyなど)はサンフランシスコに拠点を置いている。カルフォルニア州私立高等教育局(BPPE)は、これらのスクールの事務局が州の規制に準拠せずにコースを提供していることに気付き、カリフォルニアの規則に従わなかった場合には50,000ドルの罰金が課せられる旨を記載した警告状を該当する組織に送った。

一方でカナダのコーディング・ブートキャンプは、政府の監督官による内部調査に直面した。コード・キャンプの支持者は、政府職員がビジネス的な成長を「抑圧している」と主張したが、結局問題となったプログラムは緩和されることになり、アメリカの各スクールが従うべき先例となった。

違反ラッシュの回避

技術分野に対する政府の監視というものは懐疑的な意見を呼び起こしがちだ。しかしながら、数か月という短いトレーニング期間で年収90,000ドルの仕事を約束するようなコーディング・ブートキャンプが増えることは、このシステムを利用しようとする主催者も増えるということであり、結果的に受講生と誠実なコード・キャンプの両方にとって不利益を招く可能性がある。

BPPEの広報責任者クリスティーナ・バルディビアは、もしスクールが州の規制に従わない場合は50,000ドルの罰金が履行されるだろうと私に伝えた。警告状は2月の初めに送られ、ほとんどのカリフォルニアのコーディング・ブートキャンプはこの罰金を回避するために遵守に向けた取り組みを開始した。

遵守を実現するためには、各機関は5,000ドルの申込金を支払わなければならない。また、自身のウェブサイト上でコース・カタログ、登録契約書、パフォーマンス・ファクトシートを公開し、さらに申請書にいくつかの簡単な書類を添付して提出する必要がある。この点では、学生に特定の分野の専門技術を教える他の職業訓練校とそれほど違いがない。ただし、コード・キャンプの場合ファックスの設置は義務付けられていない。

「こうしたパフォーマンス・ファクトシートを用意しなければならない理由の1つは、スクールの宣伝文句が正しいかどうかを確認するためです」とバルディビアは述べている。「それが自動車修理学校や化粧用の学校だとしても、彼らはパフォーマンス・ファクトシートを完備しなければなりません」

こうしたやり方に文句を唱える人たちもいる。彼らは、コード・キャンプというのは雇用市場に合わせてカリキュラムを定期的に変更するので、コース・カタログの更新を頻繁に提出することになり、膨大な仕事が必要となってしまうと主張している。しかしバルディビアは、もし組織が大幅にコースを修正したのであれば、彼らはやはり申込書を再提出しなければならないだろう、と説明した。

「例えば、もし仮にカリキュラム変更の過程でコード・スクールの学習計画を、全く異なる題材、例えば自動車修理の教育にするとしたら、その時はまた事務局による承認を受けるために書類を提出しなければならないでしょう」と彼女は語った。

不正行為の可能性

コード・キャンプに申し込む人の大多数は受理されない。Dev Bootcamp のクラスでは、6,000人の申込者から1グループ当たり約20人まで削減される。また女性のみのプログラム Hackbright Academy では、申込者のうち受理されるのはたった5パーセントだ。

これは、数ヶ月のプログラミング訓練のために喜んで何千ドルも払うような受講希望者が、大量に受理待ちをしていることを意味する。

Dev Bootcamp 卒業生のキャサリン・エクスラインは、シカゴの食品技術スタートアップでプログラミング職を得ることに成功した。彼女は、コーディング・ブートキャンプの将来的な成功にとって重要なのは、高品質なプログラムを維持することだと語っている。

「コード・スクールを運用する人やそこで学ぶ学生はどんどん増え続けています。ブートキャンプの良さを証明するために、規制を支持する人も多いです」とエクスラインは私に語った。「誰かが我々の評判を貶めることは避けたいのです」

プログラマー自身はコーディング・ブートキャンプに対して懐疑的だ。自称ハッカーのダン・ゲイリーはコード・キャンプを詐欺だと言う。彼は、ブートキャンプのカリキュラムは一人前のプログラマーになるための適切なスキルを教えておらず、求職活動をくぐり抜ける方法を会得させるだけだと主張している。

開発者は常に不足しており、マネージメントとリクルートの担当者は開発者を商品化している。開発者たちの離職率は高く、また仕事で燃え尽きてしまうことも多い。この状況が、2つのマーケット(開発者の育成と採用)を利用するビジネスを生み出している。そして利益を最優先した結果、開発者の質の低下を招いているのだ。

このネガティブな一面はブートキャンプの卒業生によって直ちに拒絶された。しかし、実際にコード・キャンプを経験したがその体験に価値を見いだせなかったと言うプログラマーも存在する。

利用できるスクールの数が増えるにつれ、コストも下がりつつある。例えば、オーストラリアの「The Fitzroy Academy Of Getting Shit Done」は、わずか4週間であなたを起業家に変えると約束する。プログラミング経験は必要ないが、カリキュラムの一部にアプリケーションの構築が含まれている。このカリキュラムのコストはわずか1,000ドル(この記事で議論された他のプログラムと比べるととても安い)だが、他と同様に給料の良い仕事を得られるようになると主張している。

お金の問題なのかそうでないのか?

大学と同様、コード・キャンプの授業料は多くの受講希望者にとって重要な要素だ。平等な学習機会を提供するため、無料あるいは安価なオンライン教育プログラムが次々と誕生しており、なかには独自のコーディング・クラスを提供しているものもある。

エクスラインは今後、ブートキャンプはお金を払える人達だけではなく、より多くの人々が利用できるようになるべきだと語った。

「私が発展を望むのは、より高い教育プログラムではなく、より手軽に利用できるようなものです。財政援助をしてくれるような施設は今のところありません」と彼女は述べている。「ブートキャンプが私達のエコシステムの一部になるのであれば、私たちはその有り様を考えていく必要があるでしょう。どうすればブートキャンプを皆が利用できるものにすることができるでしょうか?」

政府による監視は、職業訓練校や大学と同じような財政援助をコーディング・ブートキャンプに提供するという役割を果たしてくれるだろう。BPPEは、教育機関を公正に維持するだけではなく、認可校に対し学生授業料回復資金も供給しているからだ。

「もしコード・キャンプが突然閉鎖した場合でも、受講生は授業料を取り戻せるという安心感があります」とバルディビアは言っている。「スクールが認可を受けていなければ、受講生は授業料回復資金を利用できません」

コーディング学習プログラムの数が増加するにしたがって、卒業する生徒の数も増えていく。最終的に市場は飽和状態となり、採用率や卒業生の給与の低下を招くだろう。状況は明らかに下り坂だ。そして必然的に受講料も下がっていくと思われる。

一定の調査の必要性

コーディング・プログラムを申し込む際には、事前に受講生が自分で詳細調査をおこなう必要がある。政府もできる限り監視を行うが、結局、自分にとって何が正しいか考えるのは受講生の責任だ。

受講生がコーディング・ブートキャンプを評価したレビューが掲載されているリソースも存在するが、そういったフォーラムは比較的新しいものだ。ソーシャルメディアのおかげで、不快な経験も公にされるようになった。

規制は非情なものに思えるかもしれないが、その目的は学生の保護である。高等教育機関は何よりもそれを重視する必要がある。

「私は、コーディングを学ぶことは誰にでもできると思います。しかし、ブートキャンプが万人に向いているとは思いません」と、エクスラインは語った。「一部の人には、もっと伝統的な高等教育が有効かもしれません。しかし私の場合は、去年1年の間に Dev Bootcamp で成し遂げたことを他で会得しようと思ったら、恐らく3~5年はかかっていたでしょう」

トップ画像提供: HackNY(Flickrより)

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