モバイルは社会格差をなくすものだと目されていた。世界人口のうち、6歳以上の90%が2020年までに携帯を持つと推測されている。だがCaribou Wirelessの新しい調査によると、アプリが生み出す価値のほぼすべては富裕層のものになるという。

リッチな消費者にはリッチな開発者だ。残念なことにこの傾向は悪化の一途をたどっている。より大きな経済圏へ向けた製造業を生み出すことは時に取引赤字を解消する事にもつながる。(台湾が西側諸国向けに半導体産業を生み出したのはその一例だ)
だがアプリ産業においては、(低収入国にいる)開発者たちは自分のアプリを高収入国市場に売り出すことが出来てない事をCaribou Wirelessは指摘する。

リッチな者はよりリッチに

アプリがお金を生み出す方法として優れた方法だったことは無い。VisionMobileが8000人以上の開発者に対して行ったアンケートによると、Appストアの売り上げは2015年に70%の伸びを示している。だがそれでも60%以上の開発者たちはアプリで十分な収入を得られていないとレポートは結論している。

つまり開発者が挙げる収入はiOSアプリで月500ドル、Androidアプリの場合はさらに悪くなる。数字をさらに掘り下げると、(驚くことではないだろうが)低収入国市場では状況はさらに悪い事が明らかになってくる。

Caribou Wirelessの指摘によれば:

開発者たちの81%は高収入諸国におり、市場の利益率も高い。

アプリ市場が生み出す価値のうち、見積もり額の95%はたった10ヵ国によって占められている

33%以下の開発者たちは自国の市場でのみ活動を行っている。

「しかしアプリを他の市場に展開できないという事は低収入諸国においてより問題視されており、69%の開発者たちは自分のアプリを海外に出すことが出来ない。対し高収入諸国で海外にアプリを出せない開発者は29%でしかない。ちなみに米国の開発者で海外にアプリを出せないのは3%だけだ。」低収入諸国の開発者たちにとっての問題の一つに、支配的立場にあるGoogleやAppleのAppストアからブロックされている事もある。

だがそんな制約が無い開発者たちですら、彼らが取り組む市場は存続すら難しいレベルの規模でしかなく、海外に出られない理由が無い事が前提だとしても彼らは大きな市場から取り残されている。Appストアというモデルは結局、一部の恵まれた勝ち組が総取りするという状況を生み出している。その他のものは衰退するだけだ。

将来を買う

幸いなことにモバイルコマースというものがある。Caribou Wirelessのレポートはアプリの売り上げに注目したものだが、それよりもモバイルウェブサイトやアプリを通じた物販の方がはるかに商機が大きい。米国はアプリ市場を牛耳っているものの、モバイルコマースの受け入れについては比較的緩慢であるため、そこに付け入るスキはあるとCriteoの報告は明らかにした。

Criteo

モバイルコマースの加速はこれまでも見られたことであり、底辺の開発者たちにとってアプリ以上に見込みのあるものだ。ではどれくらい大きなものなのだろう?VisionMobileによれば2015年のモバイルコマース市場規模はアプリ市場の2.5倍以上との事だ。

このパイは大きなものだ。もっとも開発者がこの市場に目を向けるのならである。同じくVisionMobileの開発者向けアンケートでは、アプリ開発者でモバイルコマースに注目しているのは9%に過ぎないという。

アプリ開発者が貧困層を脱出したいと思うのであれば、これは変わらなければならない。

まとめると、大きな海外市場に向けてアプリを展開するよりも、意欲的な開発者たちはその眼をモバイルアプリやWebサイトを通じた地元対象の物販に向けるべきだということだ。それらの市場では携帯電話は既に定着した経済消費の為のデバイスであり、
つまりは、しっかりした消費者ベースは出来上がっているということだ。

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