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「数限りないスマートシティプロジェクトに目を回している地方自治体は一旦落ち着き、まず計画を立てるべきだ。」

これは、ExteNetのCTO トーモッド・ラーセン氏のアドバイスである。イリノイ州を拠点とする彼の会社は分散ネットワークを通じたモバイル・コネクティビティを提供している。

彼が言うに、世の中には大げさなスマートシティプロジェクトが溢れかえっているという。

「問題なのは、彼ら自治体が見境なく何でもやりたがっているところにある。彼らは、銃声を検知するネットワークに、無料WiFi、公共インフラの検針、環境センサー、インフォメーションスクリーンなど、さまざまなことをコストも考えずにやりたがる。」

「まず、サービスに狙いを定めて突っ走るのではなく、そのロードマップを描いたうえでどれを先に実現するか、優先順位を決めることが重要だ」と、彼は言う。

また、そうすることで「たとえ実現したいシステムの一部が向こう数年の準備が必要なものだとしても、長期的なスマートシティ構想に沿ったネットワークインフラを計画できるようになる」という。

「ひとまずネットワークさえあれば、それが将来の下地となる。逆にそれさえないのなら、そもそもその計画はただの夢物語でしかないのだ。多種多様なサービスばかりに目を取られ、本来優先度の高いサービスを実現するための支柱とも言えるネットワークを疎かにしていては、計画を実現させることはむずかしいだろう」と、彼は付け加えた。

スマートシティが映すもの

初期段階のインフラ計画のほかに、地方自治体はスマートシティ技術に対する考えを改める必要もある。ラーセン氏は、自治体の担当が古いやり方に固執しないアジャイルな開発をとることの重要性も指摘している。

「光ファイバーの敷設、街灯などへの設備展開、その他コネクティビティに関連がありそうなことで、しばしば最大の障害となるのは地方自治体そのものだ。彼らが新たな技術の価値を認識しはじめ、それを必要だと考えるようになることを願ってやまない。多くの地方自治体は、それが住民や市に対してどういった価値をもたらすのかを理解しようとせず、我々が彼らにいくら払うのかという話にしかならないのだ」と、彼は言った。

スマートシティは、市民がスマートでなければ成り立たないという話は以前取り上げたが、そもそも計画の担い手である地方自治体がスマートでなければ進まないのだ。目に見える価値しか信用できないのか、はたまた興味がないのかは知らないが、長期的な視点をもてない者に明るい未来は来ないだろう。

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そして数年後、スマートシティを実現できた都市とそうでない都市とでは歴然とした差が生まれるはずだ。便利かつ快適なだけではない、それを実現させ得る人々の「ものの考え方」という、目に見えないけれど確かに存在する大きな価値が現実に反映されるのだから。(驚くことに、日本ではスマートシティという言葉がまるで死語のように扱われているが。)

さて、2020年に東京五輪をひかえている日本だが、「焦りは禁物」とだけ伝えておきたい。スマートシティ計画に限らず言えることだが、「長期的な視点でもって優先順位を付ける」ことが成功の鍵だ。

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