1960年の創業から56年、いまやホールディングスとして情報誌だけでなく、200を超えるネットサービスを展開する大企業へと成長したリクルート。そのリクルートグループにおいて、IT・ネットマーケティング分野からビジネスを支えているのがリクルートテクノロジーズだ。

今回は同社の中でも、グループ全体で共有する基幹系システムの開発・運用をメインに手掛ける共通基幹システム部 人事・情報システムグループの柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏、そして同部 会計・Neoシステムグループの七田昌俊(しちた・まさとし)氏にインタビューを実施。基幹系システムの再構築が世の中的にも話題となるなか、現在の業務を通じて得たものや仕事の魅力について伺った。

 

自発的な提案・企画と上流から関わるおもしろさ

– まずはお二人がこれまで歩んできたキャリアと、現在取り組まれている業務について教えていただけますか?


共通基幹システム部 会計・Neoシステムグループの七田昌俊(しちた・まさとし)氏

七田昌俊氏(以下七田):私は2年前にリクルートテクノロジーズへ転職してきました。前職は総合コンサルティングファームで、通信業界のコンサルティングをメインに経験しました。現在は「Neo」とよばれるリクルートグループの勘定系システムの保守運用だけでなく、新しい経費精算系のパッケージ選定など、R&D的な取り組みも多く手掛けています。

柳原俊樹氏(以下柳原):私も中途入社で、2011年に分社化前のリクルートに入りました。それまでは外資系コンサルティングファームでERPパッケージなどの導入などを手掛けていました。現在はリクルートグループ全体に関係する人事・情報システムなどのプロジェクトマネジャーを務める傍ら、並行してプロジェクトマネジャー人材の採用や育成も担当しています。

– 転職に際しては、どのような経緯や想いがあったのでしょうか?

七田:私の場合、仕事に対する面白味を感じていたものの、立場上、リリース直前で担当したシステムから手を引かなければならず、その“手放す感覚”にどうしても馴染めなかったんです。性格的に“自分の領域”が好きなので、自分たちのシステムを自分たちの手で育てたい、関わり続けてもっと良くしていきたい、といった想いが強くなっていきました。あとは子どもが生まれたタイミングとも重なったので、働き方を変えたいと思ったのも転職のきっかけですね。

柳原:私は前職でカットオーバーまでは見届けられましたが、自分の中での納得感がいまひとつ得られずに悩んだ時期がありました。あくまでも「発注者とSIer」という受発注の関係ありきなので、「もっとこうした方がよい」がなかなか通らずに毎回及第点止まり。主体性が欠けているといった自己嫌悪もあり、そうした気持ちを払しょくするためにも当事者として関われる環境に行こうと、リクルートを選びました。

– 前職と比べて、リクルートテクノロジーズの社風や方針はどのように感じますか?

七田:リクルートテクノロジーズはIT戦略やシステム開発でリクルートのサービスを支えている会社なので、現場のエンジニアやディレクター、プロジェクトマネジャーをすごく大切にしているなぁと感じます。よく言い過ぎですか(笑)。大きなプロジェクトが数多く手掛けられることも、魅力ですし、システム開発だけでなく、より上流の課題設定や状況分析、手法の検討から任せられるおもしろさもあります。

今の仕事は経営戦略に直結する案件が多いので、自分が持っている知識では追いつかなかったり、視点を上げなければならなかったり。そういったことも、大変ですけど刺激になりますし、なにより「言われて作っている感」がまったくないのは嬉しいところです。

より上流から関われるのは、難しさも含めてやりがいになっています。案件の種、プロジェクトを始めるきっかけ自体を考えるのは前職とまったく違うところです。もちろん、提案・企画には責任も伴いますし、どこに軸を置けばいいか、すべて自分次第なので判断に悩む、それなりのパワーがかかるといった面もありますが、実現した時のことを考えると非常にワクワクします。

柳原:私は自社のサービスやシステムを支えるためにベストを尽くせるというのが大きいですね。前職と比べて、ここでは納得できるまでやり切れる。この充実感は何事にも代えがたいなと思います。

リクルートはグループ全体で積極的なIT活用を推進していますが、事業領域の広さや規模の大きさなどからパッケージで統合管理するのが難しく、エンジニア目線ではシステムや業務プロセスにまだまだ課題が多いといえます。こうした課題や実際に使っている人の困っている状況に向き合うなかで解決に向けたアイデアが日々浮かぶとともに、「何とかしてやろう」というチャレンジ精神も高まるんです。


共通基幹システム部 人事・情報システムグループ 柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏

案件としてはユーザー部門からの要望もありますが、自分たちで課題を提起して、企画・提案することも多いんです。自発的な提案・企画で新たな案件が生まれ、その業務経験がメンバーの成長につながります。そして成長したメンバーがさらに良い提案・企画をするというサイクルで、人材育成とグループ全体の業務改善が加速するわけです。

私たちからの提案・企画は、ユーザー部門ではなかなか気付けない部分にメスを入れられるため、リクルート全体としてもメリットがあることと感じています。現場からのナマの声に俯瞰的な視点を追加し、グループ全体の改善に向けた提案・企画が行えるのは楽しいですよ。腕の見せ所ですよね。

七田:あとは、ユーザー部門からの要望に対して、「それ、本当に必要ですか? やめませんか?」と言えるのも強みですよね。いい案件なら本気で取り組んでいくし、費用対効果が上がらない、効率が悪いと判断できる案件は「やらない」と決断することも。率直なコミュニケーションで必要な、正しいものだけを作っていけるということが、自分の仕事へ納得感が持てる一因になっていると思います。

柳原:そうそう。売上というものを負っているSIerなどでは、「やめませんか」はなかなか言えないものです。 今はユーザー部門の要望をできるだけ叶えてあげたいという気持ちがある一方で、業務の最適化や中長期的なシステム戦略など俯瞰的な視点も踏まえてアドバイスしています。これはユーザー部署にとっても必要な意見ですから、変に遠慮しては逆効果です。

 

グループ全体の重要な基盤を支えている“責任と誇り”

– リクルートグループでは就職・結婚・住宅・旅行など、多種多様な情報サービスを仕掛けていますよね。そうした花形ともいえるWebサービスの開発や運用という業務もあるなかで、会計システムや人事システムの開発・保守運用はどちらかといえば「黒子・裏方」的なイメージがありますが、お二人はどういった点に魅力を感じていますか?

柳原:たしかにWebサービスの開発や運用と比べて、目に見える派手さはないかもしれませんが、「リクルートが提供する全サービスの土台を守っている」という自負があります。私たちが守るシステムは、会計・顧客管理・人事といった、リクルートのサービスを作り、提供し続けていく上でなくてはならない、極めて重要な基盤です。

また、我々の基幹系システムにつながる各事業システムや従業員、その先のサービス、さらにそれを使うカスタマーやクライアントまで想像すると、責任の大きさは言葉にできないものがあります。その重要な基盤を守るというのは、エンジニアとしてこの上ない魅力であり、誇りでもあります。

七田:やれることが経営課題に直結しているのも魅力ですね。私自身、IFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)に関する案件を手がけた際は、リクルートグループ全体の動きをダイレクトに実感しました。そうした会社全体、しいては社会の動きに連動するダイナミズムのような感覚は、今の役割だからこそだと思うんです。

自分たちで予算申請からコスト管理までおこなうので、いち開発者として対峙してきたこれまで以上にシステム化の意味や必要性を考えるようになりましたし、当事者意識もぐっと高まりました。“自分の領域”を自分で良くし続けていく、という欲しかった感覚を手に入れられた、そんな感じです。

柳原:当事者意識という点では、単純に用意されたゴールへ向かって進むのではなく、各自がやるべきことを問われ、それに応えていくことでどんどん次のテーマが見つかる。そんな働き方なんですね。そうすると、自ずと目の前の仕事が「自分のテーマ」・「我が事」になっていきます。メンバーひとりひとりが自発的に動かないことには何も進まず、何も変わらない。

ただ、意思を持って動き、まわりを巻き込んでいく過程で、メンバーがさまざまな化学反応を起こすのを、僕自身これまで目の当たりにしてきました。「メンバーの成長」といえば簡単ですが、経験を重ねたベテランでも常に新しい発見がある。そういう環境も魅力だと思います。

七田:働き方といえば、周囲に対する意識もまったく変わりましたね。今までは自分が成長することを中心に考えていましたが、グループ全体のビジネス活動に影響するような大規模なシステムを支えていくには、なによりチームワークが重要です。そこでパートナー企業の方々も含めて、チームとしての価値の最大化やそのための人材育成の大切さを意識するようになりました。

若い人材に経験を積ませれば、それだけ組織力が底上げされ、団結も強固に、当人たちのモチベーションも上がります。考えなければならない範囲と視野が広がったのは、これからの自分にとっても大きなプラスです。

 

ボトムアップの苦労はエンジニアの醍醐味と表裏一体

– 経営システムというとトップダウンで要件を降ろす“一方通行”のイメージが強いですが、リクルートテクノロジーズでは経営者側と現場の双方で要件や意義を考えるというスタイルが多いそうですね。ボトムアップが求められる環境ゆえのやりがいや苦労した点、ご自身が成長したと感じる点について教えてください。

七田:たとえば、私が手がけたIFRS案件は最初の指示こそトップダウンでしたが、具体的な進行はすべてホールディングスの経理部門と連携した各事業会社の現場とおこなっていたので、実質的にボトムアップの要素がかなり強かったと思います。スケジュール調整からシステムの入れ方まで、あらゆる部分に気を配る必要があるため複雑でかなり大変ですが、やり遂げた時の達成感は格別です。

柳原:ボトムアップの大変さは、エンジニアとしての醍醐味と表裏一体ですね。SIerの一般的なプロジェクトでは、各担当者の役割が明確化されていることが多いですが、ボトムアップで提案・企画から手掛けるとなると総合力が重要になってきます。特に、日々の案件対応では現場力が求められますから、繰り返される地道なコミュニケーションを楽しめるかもポイントです。最初は手探りでも、こうした経験と勉強を経て自分の引き出しを増やしながら、より大きく成長していけるんです。

自分たちが作ったものに対する評価が、ダイレクトに伝わってくるのも面白いですよ。ありがとうメールが大量に届くこともあれば、問合せやクレームもありますけど(笑)。 内容の良し悪しを問わず、こうした反響はリリースした実感にも結び付きますし、いいものに進化させ続けられるというまた違った醍醐味もあります。

 

目指すはシステム・常識・歴史を“変えられる”エンジニア

– それでは最後に、これから取り組んでみたいテーマや野望、また今後の抱負などを聞かせてください。

七田:総合力が求められるので、苦手な分野でもこなす必要があります。たとえばパートナーさんと打ち合わせをする場合、最低限でも同じ土俵に立てるくらいの知識レベルがなければ、話すらまともにできませんから。そこでさらなる総合力の強化を図っていきたいですね。

柳原:たしかに苦手な分野の克服は大切だと感じます。もちろん、全領域でスペシャリスト並の能力を身に付けるのは不可能です。そこで大きな力となるのが、互いに異なる得意分野で補完しあえる「チーム」の存在であり、そのチームの能力を最大化する上で活きてくるのが「人間力」じゃないかと思います。さまざまな考え方の人々と協力するために、今後もこの人間力を磨いていきたいですね。

七田:もうひとつ中長期的な視点では、会計システムをどのように変えていくかが命題となっています。正直なところ、現行の基幹系システムの歴史が古く、規模が大きすぎるので、古くから務めている諸先輩方との知識ギャップや判断の感覚にズレに戸惑うこともあるんです。

でも、いずれはそれを引き継がなければいけませんから、そうした変革期に備えて“変えられる人”になりたいですね。必要なタイミングで先頭に立って“システムを変える”、一般的に無理だと思われている“常識を変える”、こうした取り組みがリクルート全体の“歴史を変える”ことにつながれば最高です。

– ありがとうございました。

提供:リクルートテクノロジーズ


今回取材した方

リクルートテクノロジーズITソリューション統括部
共通基幹システム部 人事・情報システムグループ グループマネジャー
兼 共通プロジェクト推進グループ グループマネジャー
柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏

2011年 中途入社。前職では外資系ITコンサルティングファームにてERPパッケージなど
の導入に従事。現在はリクルートグループ全体の人事・情報システムなどのプロジェクトマネジャーを務める傍ら、並行して共通プロジェクト推進グループのマネジャーとして中途メンバーの育成を担当。

リクルートテクノロジーズITソリューション統括部
共通基幹システム部 会計・Neoシステムグループ
七田昌俊(しちた・まさとし)氏

2014年 中途入社。前職では外資系総合コンサルティングファームにて大規模システム導入などに従事。現在はリクルートグループ全体の財務会計システム群の保守チームリーダーとして、システム導入の企画から導入、その後の保守までのシステムライフサイクル全体を担当。

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