システム開発の大規模プロジェクトを主導するプロジェクトマネジャー(以下PM)は、責任重大で難易度も高いが、それだけやりがいを感じられる仕事と言えるだろう。しかし、関わり方によっては、「要件通りのシステムを作ること」が目的となってしまい、本当の意味でユーザのニーズに合致したシステムだったのか? と自問自答するケースもあると聞く。

そうした経験から自身のキャリアを見つめなおし、ITコンサルティング会社からの転職を決意したリクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 共通プロジェクト推進グループの柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏に、リクルートテクノロジーズPMならではのやりがいやその役割について伺った。

 

求めたのは“お客様のため”が“自社のため”にもなる仕事

- まず、これまでどのようなお仕事をされてきたのか経歴を教えてください。

柳原俊樹氏(以下柳原):
以前は外資系のITコンサルティングファームにいて、ERPパッケージの導入などを手がけていました。大手企業に常駐し、40~50人規模のプロジェクトをマネジメントしていましたが、経験を積んでいく中で、段々と自分が目指すスタンスとのズレを感じ、リクルートテクノロジーズに転職しました。

- 「自分が目指すスタンスとのズレ」とは、具体的に何だったのでしょうか?

柳原:もともと惚れ込んだ相手のためならとことん頑張れる性分で、前職でもはじめは実際にそう思えるお客様と二人三脚でプロジェクトの成功を目指すことにやりがいを感じていました。ただ、やはりコンサルティング会社として、クライアント企業と自社との関係上、必ずしもそこだけに集中できる環境ばかりではありませんでした。

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◇リクルートテクノロジーズITソリューション統括部 プロジェクト推進部 共通プロジェクト推進グループ グループマネジャー 柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏

生々しい話ですが、プロジェクト自体はうまくいっているのに、契約内容や金銭的な面で折り合いがつかなかったり、フィーが高いから、と上流工程だけの契約で終了し、カットオーバーする瞬間までを見届けられなかったり。「お客様のためにはこれが必要だ」と信念をもって取り組んだことが、上司から「やりすぎだ」と諭されることもしばしば。

気づけばそういったしがらみを気にして、「100%お客様のため」ではなく、どこかで「自社、上司のため」に仕事をしている自分がいました。お客様の満足度を追求するところから乖離してしまっているという危機感があったんです。

そういったジレンマを感じていたので、仕事自体のやりがいが薄れてきてしまって。「自分のやりたいことはこんなことじゃなかったはずだ」と、そんな状態から抜け出したくて転職活動を始めました。

- 転職先として、リクルートテクノロジーズを選んだ理由は何でしょうか?

柳原:転職活動を始めた際に求めていたのは、「お客様(ユーザ)のため」を考えることが、そのまま自社のためにもなる環境。余計なしがらみを気にせず、「お客様のため」というスタンス100%でいることが良しとされる環境であれば、やりがいを感じながら働けるはずだと思いましたね。

コンサルティング会社やSIerだとどうしても、「発注元と発注先」という関係性になってしまいますが、ユーザ企業の中であれば、よりシンプルに自分が当事者としてシステムに関わることができます。SIerでも、再びコンサルでもなく、自社システム・サービスの開発を担えること、そして、100%全力投球できる案件がたくさんあること、その2つが決め手となってリクルートテクノロジーズ(当時リクルート)を選択しました。

 

リクルートテクノロジーズ流プロジェクトマネジメントの醍醐味とは

- 転職の際求めていた「『お客様(ユーザ)のため』を考えることが、そのまま自社のためにもなる環境」は叶いましたか?

柳原:もちろんです。現在は事業ごとに分社化をしているので、リクルートグループ各社やリクルートHDがカウンターパートになります。入社してまず担当したのは、分社化に伴う基幹系人事システムの再構築のプロジェクトでした。

リクルートグループ全体が相手ですので、社内システムとはいえ自社の数万ユーザ相手の大規模なサービスと言えます。もちろん、自分自身もユーザの1人。「発注元と発注先」という関係性ではなく、「自社システム」のプロジェクトですから、当然当事者意識や思い入れは格段に違いました。

 

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ユーザが身近な分、結果も見えやすく、様々な意見も直接耳に入ってきます。人事システムについては、カットオーバー後の保守も担当できています。カットオーバーしたら終わり、ではなく、ずっと付き合っていける前提ですから、先々を見据えた長期的な開発もできている手応えがありますね。

- リクルートテクノロジーズならではのやりがいというのはどんなものでしょうか?

柳原:やはり、ユーザ企業の中でシステムに携わることで、カットオーバーしておしまい、ではなく“企業の成長に寄り添っていける”のは大きいです。リクルートグループは非常にスピード感があり、経営の意思決定も速いので、そのなかで変化を求められ続けるというのも、やりがいを感じる部分ですね。自分自身も経営視点を持って、先々の変化を見据えてボトムアップで提言していくことも重要です。

また、立場に関係なく、さまざまな提案ができるというのもいいところです。たとえば、私自身は入社してすぐ人事システム再構築などの、非常に大きなプロジェクトを担当しました。正直なところ、とても難易度が高いプロジェクトで、自分自身入社したばかりでリクルートグループのことが良くわからないなかだったので当然苦労もありましたが、入社したばかりの自分の提案もしっかりと受け入れてもらえたのを覚えています。当時のPMやPLが後押ししてくれました。毎年たくさんの中途入社者を受け入れていますが、社歴や年齢、立場に関係なく意見を言い合える環境です。

その後もいろいろな業務を任せてもらい、さまざまなことを経験していくなかで、今後やりたいことや、よりコミットしていきたい領域もクリアになってきました。意見を言い合う風土があるから、お互いに変な気を遣わずに仕事ができますし、そうして培ったベースの信頼関係があるからこそ風通し良く働けるのはいいですね。

中途で入社してからこれまでの経験をふまえ、現在は私がグループマネジャーを務める共通プロジェクト推進グループで、新入社員をプロジェクトメンバーに受け入れ育てる、育成ミッションも担っています。

 

自身の経験や知見を活かし、「プロジェクトマネジメントのプロ」を育てる組織づくりに挑戦

- 共通プロジェクト推進グループのミッションとは具体的にどういったものでしょうか。

柳原:中途入社者を受け入れ、大規模システム開発プロジェクトや、大規模な共通基幹システムの企画・エンハンス・保守運用を今後担っていける人材を育成することがミッションです。

近年ますます、リクルートグループの事業とITは切り離せない関係になっています。「こんなサービスを作りたい」「業務システムを再構築したい」など、グループ会社からのニーズは年々増加しています。正直なお話をすると、弊社のリソースではそのニーズに100%応え切れていない、というのが現状です。

そういった背景から、たくさんの優秀な方々にご入社いただき、もっとグループ会社の期待に応えていかなければなりません。そのために、今年の4月に戦略的に立ち上げた組織が「共通プロジェクト推進グループ」です。リクルートテクノロジーズの重要な経営課題を担う組織のマネジャーということで、私自身日々緊張感とやりがいを持ってミッションに取り組んでいます。

- 中途入社者であれば、十分な実力をもつ即戦力の方が多く集まっているのではないかと思いますが、教育の機会はやはり必要ですか?

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柳原:早期に立ち上がってもらうためには、とても重要だと考えています。同じような仕事をしてきた人でも、会社によって用語の使い方や手順などが細かく違うので、いきなり現場に入ってしまうとどうしても戸惑うことがあります。「この社内用語ってどういう意味なんだろう」など、とても小さなことでもつまずいてしまう要因になりうる。

そのため、入社した方にはまず、共通プロジェクト推進グループの一員として、経験値のあるPMとともに中規模プロジェクトを担当してもらいます。大規模プロジェクトほど期間も長いため、タイミングよくフルフェーズで経験するのは難しくなります。途中からの参画になると、「なぜこの要件に決まっているのか」など上流の背景がわからないなかでキャッチアップせねばならず、最初のハードルがより高くなってしまうという課題もあります。

そのため、比較的期間が短めのプロジェクトを、上流からカットオーバーまでフルフェーズで経験することで、“現場を通じて力と自信を付けてもらう”ことを目的に置いています。

共通プロジェクト推進グループは、リクルートテクノロジーズとしてこれまで磨き上げてきたプロジェクトマネジメントのメソッドや、リクルートグループならではの仕事の進め方・お作法について、中規模案件を手がけながら覚えてもらう、いわば「中途入社者の受け皿」のような部署です。現在は3つのプロジェクトを動かしながら様子を見ています。

私も実際に一緒にプロジェクトを進めるなかで個々人の様子が見えますし、悩み相談なども受けやすくなっているのを感じますね。面接ではわからなかった強みや育成ポイントなども、近くで毎日一緒に働くからこそ見えてきます。また、その後の配属先も、私の古巣だったり、兼務している部だったりするので、中長期的なスパンで転職後のキャリアを伴走できると思います。

- 高度な現場への対応力を身につけ、早期に戦力化してもらうための取り組みということですね。

柳原:「地に足のついた現場力をつけてもらう場」だと思っています。「リクルートテクノロジーズに入って本当によかった!」と思ってもらえること、そこに最大限こだわって取り組んでいます。

 

自分の思う向き不向きなんて“あるようでない”もの

- 柳原さんは採用も担当されているそうですね。

柳原:はい。採用の部署も兼務しています。現在は自分で採用した人たちと一緒に働きながら、先ほど言ったとおりプロジェクトを通じて育成をしている状態ですね。

- なるほど。採用も育成も一貫して担当されている柳原さんから見て、リクルートテクノロジーズのPMに向いていそうなタイプを挙げるとしたら?

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柳原:ユーザを目の前にして働く仕事なので、「当事者意識」をもって一緒にやっていける人が向いていると思います。よりユーザのためになることをきちんと考えられる人が必要です。システムを作って終わり、というのではなく、しっかりと腰を据えて働きたい、ユーザと同じ方向を向いてやっていきたいという人は楽しく働けると思います。

- 教育体制もあり、高い技術はもちろんのこと、なによりユーザの意図を汲み取る力やマネジメント力が身につきそうですね。

柳原:そうですね。BtoCサービスであれば、〈ユーザ〉は事業会社の企画部門や、広告を掲載して頂くクライアント企業、そのサービスを使う多くの一般消費者の皆様。社内の基幹系・業務系システムであれば、〈ユーザ〉はリクルートグループの従業員やその統括部門ということになります。非常に近い立場で、多くのユーザ・ステークホルダーとコミュニケーションをしていくことになります。

「ユーザと一緒に当事者としてしっかりシステムに関わりながら、高い技術を身につける」といった働き方をしたい人には、とても居心地のいい場だと思います。周囲の技術力も高いですし、PMとしての力もしっかり身につきます。ユーザ側も技術のことをよくわかっている人が多いですし、こちらもそんな彼らの期待に応えられるよう努力できる人材が多いと感じますね。

- さいごに、今後の展望をお聞かせください。

柳原:このグループを作るまで、自分が採用や育成を担うとは思ってもみませんでした。ただ、いざやってみると、とても充実感がありますね。グループでの活動を通して、「これまで知らなかった自分」に気づけたので、個人的にはその気づきを育成に活かしたいと考えています。

自分の思う向き不向きや固定観念みたいなものって、“あるようでない”ものです。「向いていないんじゃないか」「苦手だ、自信がない」と思っていたことでもやってみたら違った、という経験を実際にしたからこそ、そう思えます。これからも、「あまり自分の可能性を狭めないように、食わず嫌いせず挑戦してみよう」と伝えていきたいですね。そうして多くの機会を創りだすことで、メンバーが生き生きと働きながら成長していける組織でありたいと思っています。

- ありがとうございました。

提供:リクルートテクノロジーズ


今回取材した方

リクルートテクノロジーズITソリューション統括部
プロジェクト推進部 共通プロジェクト推進グループ グループマネジャー
柳原俊樹(やなぎはら・としき)氏

2011年 中途入社。前職では外資系ITコンサルティングファームにてERPパッケージなどの導入に従事。現在はリクルートグループ全体の人事情報システムなどのプロジェクトマネジャーを務める傍ら、並行して共通プロジェクト推進グループのマネジャーとして中途メンバーの育成を担当。