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この投稿はシンジケートニュースサイト、Ferenstein Wireに掲載されたものである。質問等は著者のグレゴリー・フェレンシュタインまでメールを。

日曜の夜10時から労働者の日にかけて、私はソフト開発フォーラム「Stack Exchange」にコーディングで抱えている問題について投稿した。30分後、問題は同じく夜なべをしていた他のメンバーによって解決された。完全に納得のいく方法では無かったことから、他6名ほどのエキスパートたちからもエレガントな方法が提示され、やり取りは真夜中をまたいで続けられた。

こういったことはシリコンバレーの労働倫理をよく表わすものであろうし、その噂からNew York Timesはアマゾンの苛烈な企業文化の調査に乗り出した。その記事が公開されるやいなや、多くの方面からアマゾンのCEOが労働者を搾取し、この業界で労働者が「ワーカホリックであること」を求められるという考えを固定化させていると批難が挙がった。

私のコーディングの問題を解決してくれた人は、それでお金をもらってるわけではない。彼らはただ技術を愛するギークだ。どこまでも問題の解決を追い求めることは彼らのDNAに刻まれているのだろうし、それこそがどんな鞭よりも技術を前に進めさせる原動力になっている。

 

知恵の出し合い

世界中に1億人以上の月間ユーザを抱えるStack Exchangeは、テクノロジー業界の基礎を形成する開発者ネットワークの1つに過ぎない。インターネットを支えるソフトの多くはオープンソースであり、数百万ものユーザが無料で互いの問題を解決しあったり、アイデアを出しあったりすることで成り立っている。

こういった助力にお金を支払うのはほぼ不可能なことだ。数週間前に自分の問題を解決するためにフリーランスのプログラマを雇ったが、そのコードはお世辞にも出来がいいと言えるものでは無かった。毎回動作させるたびに処理が完了するまで10分かかるのだが、本来はもっと早い時間で何度も何度もそれを動作させなければならなかった。しかし、前述したとおりStack Exchangeにて相談したところ30分で得られた解決方法は、処理時間を数秒にまで短縮した。

べつに「タダ働きするべきだ」と言っているのではない。彼らのような腕のあるプログラマたちなら、10万ドル以上の給料を得ることもできるだろう。だが、シリコンバレーのトップクラスは往々にしてその仕事を“愛して”もいる。私の経験上、プログラマがフォーラムから無料で助けを得ながら自分のサイドプロジェクトを持っている率は非常に高い。

 

情熱なくして革新なし

「酷い技術系企業」について見直す次のようなこともある。ユーザが匿名で評価付けをおこなえるGlassdoor.comでは、長時間労働について述べるユーザは、たいてい自分の会社を5点満点中の5点と評価することが多い。Facebookは業界でも最高クラス(もっとも働きやすい企業)の評価を受けているが、その企業文化は長時間労働によって支えられているというコメントも見られる。

シリコンバレーは労働者の搾取が一般的なところだと決定づける前に、彼らの(ほとんどでないにしても)多くが雇用主が求める以上に自分の時間を無料でつぎ込んでいるということを認識するのは重要だ。

これまでの技術系カルチャーの社会性をふり返ってみれば、驚くようなことではない。最近では技術者が必死に働く様はかっこいいという認識が生まれてきたが、いつでもそうだったわけではない。シリコンバレーを成り立たせているものは、週末だというのに高校でコンピュータを作り、コードを書き、そして周りの人たちからほとんど理解されてこなかった“ギークたち”だ。

ある種の人たちにとって、テクノロジーは安息を得、また情熱を燃やす場所であり、今では成人して我々の未来のためにコードを書いている彼らの多くにとっても変わらずテクノロジーは「安息と情熱の地」であり続けている。

これは創造性がもつ性質の1つであり、イノベーションとは労働者たちが搾取やひどい扱いを受けることなく、自分を突き動かす何かを満足させることができるところでのみ育まれる。それが傍目には長時間労働であったり、週末にタダでアドバイスを送ったりといった形に映っているのかもしれない。

未来へ向かうにあたって問われるべきは、ワーク・ライフバランスというより趣味などと同じくらいその仕事を“楽しんでいる”かどうかだろう。子供のころ、夏の間にロボットを作ったり、夜や週末にコーディングを習っていた人たちにとって、テクノロジー業界はその答えを探すのに意味深いところかもしれない。

画像提供:Shutterstock

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